彼はきっとモンゴルからの留学生だろう
日曜朝のマクドナルドは そこそこの客入りで
レジに行列ができるかできないかくらいの様子だった
喋り慣れ始めた日本語を ゆっくりと大きな声で発声し
一生懸命 接客対応しようとする彼の姿に
こちらもなるべく分かり易い話し方でオーダーしようとする
ボクの前のお客さんの姿に習って ボクもそうした
そんな彼が一生懸命勧めてくる 妖怪ウォッチのカレンダーをお断りするのに
いつものそのパターンの10倍の勇気が必要だった
正面でない方の入り口から入ってきたようだった おばさんが
ボクの後ろに並んだとき 少し嫌な予感した
その予感とやらが 当たってしまった
他の家族の分であろうか 早口にセットであるものでないものを
情報整理しなまま 彼に言った
彼は明らかに困っていた
どのセットにポテトのどんな飲み物をつけていいのか
妖怪ウォッチカレンダーを勧められないほどに困っていた
おばさんは苛立ち 先に増して早口にまた言い放つ
そうすると店長らしい方がさっと出てきて さっとレジをこなした
ボクは そっとそんなおばさんを
後ろからギュッと抱きしめてやろうと思ったところで
ボクのメガマフィンセットが出揃った
何となく『マダムインニューヨーク』という映画のことを思い出していた
それから席に座ると目の前に 背もたれに腕を回したおじさんと
嬉しくなさそうに携帯電話をいじる 高校生くらいの女子が座っていた
反抗期なのかなんなのか その嫌悪感は呆れるほどに大きく
お父さんらしきおじさんの話は 悲しいほど無視されていた
ボクはそれに目と耳をふさぐように メガマフィンを頬張った
瞳を開けば その女子高生の隣に さっきのおばさんが座っていた
何があったかは知らないが お母さんらしきおばさんは 女子高生の味方のようだった
「苛立ちが生むものは何なのか」
そんなことを思いながらボクはコーラを飲み干し 席を立った
ボクの見ていた日曜のマクドナルドはそんな世界で
そこには悲しみしかなかった
またあの留学生アルバイトの青年に会えるだろうか
マクドナルドで会えなくとも 彼が元気でいてくれたら それでイイ
ワルモノもイイモノも 大体が誰かの勝手な決めつけで 配役される
そんなことを勝手に言っているボクも ワルモノなのかもしれない
そんなことを思ったという 覚書程度の そんな日記でした