2015年6月22日月曜日

マッチ売りの少女の3連休


[イージーライダー]をヴィデオで 観たばかりだった
その頃のボクらは またバイクどころが 免許も取れない歳だった


日曜の朝からノブオくんがやってきて

「ヨッチャンちに ハーレーがあるらしいから 見に行こうぜ!」

というので 見にいくことにした 

ボクらは 明らかにいつもと違う気持ちで ママチャリに股がった


ヨッチャンは いつも以上に得意気に 出迎えてくれた
ヨッチャンは そういう男だった

得意気に案内された ガレージに停まっていたのは

青い回転灯と 鷲をモチーフにしたステッカー
プラッチックで 大げさに装飾された バイクで
タンクには ホンダのマークが付いていた

ヨッチャンは いつも期待を裏切ってくれる男だった


ボクらは 大笑いしながら ヨッチャンを精一杯 馬鹿にした


そして ボクらは そのまま ママチャリに乗って 

隣町まで行ってみよう ってことになったから

一回帰宅して 持っている限りのジャリ銭を ポッケに
そして 一枚だけ持っていた 千円札は 
グリッブの破れてハンドルバーの空洞に詰め込んだ

まるで オイルタンクにお札を忍ばせたつもりだった


そしてボクは ママチャリのシートではなく 
荷台に腰を下ろして ペダルを漕ぎ出した

サドルは タンクのつもり

それは まるで アメリカンバイク 
チョッパースタイルのソレに乗っているつもりだった

ノブオくんも それをマネして そう乗り出した


ヨッチャンは マウンテンバイクだったので
それができなくて もどかしそうにしていた

ボクらは その様を見てまた 精一杯小馬鹿にした


隣町への道のりは 遥かに遠かったが
おかあさんの車で 何度も隣町の病院へ行っていたので
近道とかも だいたいわかっていたの 迷わない自信があった

それでも 大冒険のつもりだった


めざすは 隣町のイトーヨーカドー   

ヨーカドーのゲーセンで 持っている限りのジャリ銭を使い込んで

シャベルですくい挙げてたものを 狙って落とし またそれがググっと押し出されて
お菓子が ポトって落ちてくる あのゲームで 取れる限りの アポロを穫ってやるんだ


途中のセブンイレブンで アクエリアスの700ミリリットルの
飲み口が スポーツ選手が使っていそうな クイと引き上げると
チューチュー吸えるタイプの ヤツを買った


おかあさんがいっしょじゃないのに 自分のお小遣いで
自分の欲しい物を買っている そんな自分に少し酔っていた


アクエリアスをチューチューしながら 
たどり着いたヨーカドーのゲーセン そこに自由があった

が バッタリそこで会ったマサオくんは 普通にお母さんといっしょに来ていた

大冒険をして来た感覚が ちょっぴり冷めた


アポロもあんまり 穫れなかった

「下で買った方がよかったんじゃない?」と 

ヨッチャンが言い出したので また気持ちが冷めた


ヨッチャンは そういう男だった


とりあえず 2、3個撮れた アポロをカゴに入れ

ボクらは おうちまで帰ることにした


ママチャリを漕ぎだしら また少しずつ気持ちが高揚して来た


自然と ボクらは 競争になってきた


後ろで ヨッチャンは 急な坂道を登る用のギアのままで走っていたので
いっぱいいっぱい漕いでも 遅かった


ボクと ノブオくんが 笑いながら競争をした

後ろにぴったりついて走っていたノブオくんが

夢中になりすぎて 訳もわからずボクが 急ハンドルを切った
その瞬間 訳もわからず ノブオくんが吹っ飛んだ

転んだノブオくんの手と膝から 結構血が出ていた

「イテェよ イテェよ」と 涙をこらえるように 傷口をフーフーしていた


なぜが ヨッチャンが 泣き出した
それを感じ取って ノブオくんの目から 涙があふれてきた

ボクも なぜか つられて泣きそうになったけど

ノブオくんの肩を 叩きながら そのリズムに乗って唄いだした

「ブォーン トゥビー ワーアアア!」
「ブォーン トゥビー ワーアアア!」


ノブオくんは 泣きながら笑い出して

そして 一緒に唄った

「ブォーン トゥビー ワーアアア!」

この旅で 一番大事なことを思い出した
ボクら 三人は 大笑いをした


それから なぜかノブオくんを 遊ばなくなり

もう 15年は会っていたい

決して 仲が悪くなっただけでもないが

久々に会ったら うまく話せないような 気がする





2015年6月11日木曜日

タマネギのすりおろしって たいへんだ



自己啓発的なモノではなく 

ただその人の思ったことが 言葉が

回りくどくもなく くちどけのよい こしあんのような言葉で書かれた

そんな本が好きだ


その本その文章その言葉から なにか新しい概念を与えられると 

より大きな満足感を得る 利口になったつもりになる


そんな本に いつでもどこでも 出会えるわけではない
読まないことには 始まらない


いろんな 思想や概念や言葉 そんなモノが集まった 図書館や本屋って
また恐ろしい空間である 空間というより 宇宙である


いや その宇宙って一体なんなんだ 

それもきっと どれかの本に書いてある


人はなぜ 文書は言葉を紙に詰め込んで 残そうとしたのか 残してきたのか


それもきっと どれかの本に書いてある




最近 時間に余裕がないのか  心に余裕がないのか

ぜんぜん 本を読んでいない

それは 本を読んでいないから 時間にも心にも余裕が作れていないとも言える


昔から 頭を悪く 心も弱く 顔の細工も悪く

それをなんとかしようと 少しでも補おうと 

本を少しでも読むようにしていた


しかし顔の細工の悪さだけは 少しも補えなかった

いや 頭も心を弱いままだった


新しい言葉や 概念を欲している



ようするに 最近本を読んでいないから 
なにか本を読もうということを

回りくどく 話してみました