なんとなく 車で聞いていた 桂枝雀師匠の落語の そのマクラが
まるで 遺言のように聞こえて なんだか涙が出てきた
今までそれを聞いて ケタケタ笑っていたはずなのに
最近 急に太ったせいか なんだか涙もろくなったのか
それとも歳のせいなのか
変に偏りのできてしまった感情
それと引き換えに 自分の感受性 言葉の咀嚼力が 衰えてしまったようだ
そんな自分を 笑い飛ばず力さえも 失ってしまった
ここのところ 文章を書いても書いても 自分を苦しめるような
そんな行き場のやり場のない言葉だけが ただただ溜まっていった
かといって 自ら命を絶つには まだ少しだけ やり残したことがあるようだ
友人に誘われて行った スチャダラパーの25周年ライブ
ワンマンライブならでは お約束ムードで始まり
ボクも そのつもりで ワンマンライブならではお約束ムードを楽しもうとしていた
しかし そのお約束ムードをいい意味でぶち壊す イントロが流れてきた
「B-BOYブンガク」だった
アレは95年に出たアルバムの イントロ明けの2曲目
少年期のボクが スチャダラパーにどっぷりハマるきっかけになった曲だった
少し大人になって スチャダラパーのライブの行けるようになってから
それなりにいろんなライブに行ったつもりだけど
その曲は 一度も 唄われることはなかった
大好きな曲だけど 「ライブでは絶対に演らない曲」と 勝手に決めつけていた
そんな「B-BOYブンガク」の イントロが聴こえた瞬間
全身に鳥肌が立ち 自然と涙がこぼれた
自分の中に潜んでいた『スチャダラ好き少年』が一気に目覚めたようだった
25周年ライブは 本当に最高だった
その先の記憶がないがただただ ライブが最高だった感覚だけよく覚えている
たまたま立ち寄った CDショップで 置いてあったフリーマガジンの表紙
そこに写っていた 満面の笑みの 高田渡さんを見て なんだか涙が出てきた
それは 今まで映像や 写真で見た事がないくらいの 見事な笑顔だった
そんな とびきりの笑顔を高田渡さんを見て 知り合いでも何でもない
ただの壱リスナーのくせに なんでか CD屋さんの前で 涙した
ハタから見ていたら 小太りの不細工の 31歳が CD屋さんの前で
急に泣き出すなんて さぞ 気味が悪かっただろう
なにより 知り合いに見られてなくてよかった
どのミチ 気持ち悪いから 泣くのはもうやめよう
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