2017年7月15日土曜日

青唐辛子を買って 醤油でつけた

あそこは 風の通り道だ

その昔 避暑地と言われたこの街も 温暖化が進み

摂氏30度を超えた真昼の 冷房のないこの古い平屋に逃げ場などない 

書斎と冷蔵庫を往復する その途中の

風呂場の窓から流れるその風に 涼を思えど

冷蔵庫で冷やした 麦茶がどんどんと減っていく現実に
向き合おうとしない 自分がいた


美味しい麦茶を入れるには 湯を沸かさなければならない
その灼熱を思うと 涙がこぼれそうになったので

ボクはその瞳を 閉じることにした


いっその事 風の通る あの風呂場の脱衣所で 昼寝をしてやろうか

しかし こんなところで寝ていたら 通りすがりの人が 大っぴらげた窓から
横たわったボクを見つけ

「小太りの中年男性が 風呂場で倒れてます」なんて 
救急車などを呼ばれてしまいそうな気がして やめた

シュークリームを買った時にもらった 保冷剤を
後頭部と枕に挟んで ベッドで昼寝することにする

30歳も過ぎれば 大人の判断もできるようになる
と 少し誇らしげに 横になると

寝室の少し開けた窓から 誰かが 我が家に近づいてくる気配と
それから ポストにワシャワシャと 何かを突っ込まれている音がした

「まぁ郵便だろう」 と思えど

また誰かがくるのでは と さっき何が大きな音を立てて 投函されたのだろうと

気になって気になって 眠れなくなってしまい

結局 そのまま起き 夕方まで 仕事をした

日も沈めば また涼しい風が 入り込んでくる

日暮れとともに 洗濯物を干していたことを思い出す

乾いた洗濯物をベッドに投げると すっかり暖まった保冷剤が目に入る

保冷剤を冷凍庫に戻すと 晩のむ 麦茶がないことを思い出す

そして また風呂場からの涼しい風で

そこが 風の通り道だったことを 思い出す


どちらかというと 夏は苦手なほうだ 


2017年6月21日水曜日

悪者扱い

オオワシが 空から 急な角度をつけて 降りて来て

ボクのポテっとした両肩をつまみ上げ ボクを持ち上げながら空へ 飛び上がった

何をされるかという恐怖心よりも 
地上に足も声も届かないほどの高さに連れて来られた恐怖心よりも

何よりも 己の醜く熟れた ワガママボディを 必死に掴んだオオワシの握力とその爪と
その重さが 地球に引き寄せられることによっての起こる 両肩への激痛が ボクを苦しめた

何千年と 人間が夢を見た その大空を羽ばたくという それが 
その時のボクには ただの ただの苦痛でしかなかった

そこで目を覚ました  真夜中だった ひどい肩こりだった

ニンテンドーDSとクロノ・トリガーというゲームを引っ張り出して
眠りに落ちるギリギリまでやっていたこと それが 原因だろう

ひどい夢から覚めてから安心からか 妙に冷静だったボクは

少し肩のストレッチをしてから枕を直して またすぐに眠りに落ちた


明けたのその日は日曜だった 少しだけ寝不足を感じた寝起きだったが

いつもと違う朝の気配と匂いで 妙に集中力が高まり ペンを取り仕事を始めた


気がつくと 正午を過ぎていた 

ボクにだって お昼ゴハンを 食べ忘れることもある

かといって 食べないのもイヤなので  洋食屋へ行く

お店に入ったのは 15時少し前だったけど

テーブル席はだいたい埋まっていて 皆 それぞれのカレーを食べていた

ボクがカウンターに座ると  対角線上に座っていたおじさんのところにも
カツカレーが 運ばれて来た

しかし ボクの腹は決まっていたので ささみフライ定食を注文した


15時が過ぎたころ まだ パラパラと お客さんが入ってくる

テーブル席が どんどんと空いてゆくのに反して  カウンター席が
一名様のおじさん達で 埋まってゆき 皆それぞれのカツカレーを注文する

小さな音で かかっていたテレビから 大きな笑い声がすると
皆が テレビに注目するが 会話は一つもない


遅く起きたのか 朝飯が遅かったのか ランチ難民なのか
それぞれの おじさんたちが 一人で静かに 昼食を食べている

その光景で 伊坂幸太郎先生の ”死神の精度” のレコードショップに集う死神たちのことを
思い出していた


お店に入るときに手にとって結局読まなかった というより 
読む勇気のなかった写真週刊誌を 棚に戻して  

あの頃より 年老いたおばちゃんにお金を支払い

疲れた様子のマスターに ごちそうさまでしたと 挨拶をして 店を出る


外に出ると 街に馴染む様子のない 作りかけの大きな大きなショッピングモール
 

あと5年 この先5年で 少しずつだったりときには大きく 街が変わってゆく

好きな店がなくなる寂しさと 今までのように この街が好きでいられるかという不安が 込み上げる

それを 少しでも消化しようと  なるべくシンブルめなドラムの曲が聴きたくなったけど

イヤホンを家に忘れて来てしまったので 誰にも聴こえないように口ずさんで 帰った


日曜日の 過ごし方



2017年5月12日金曜日

雪印がボクに残してくれたこと

夜に立ち寄ったコンビニで なんとなくタバコを買ってみたくなった

タバコを吸わなくなって7、8年くらいか

だからタバコを買うのもの7、8年ぶり

すっかり変わってしまったパッケージに戸惑う どれが何のタバコがよくわからない

ずっと変わっていなかったパッケージの ハイライトというタバコを取ってもらう

レジスターが大きい音で「年齢確認が必要な!」と叫ぶが
店員のおばちゃんは ボクに年齢確認を要求しなかった

すっかりボクも そんな顔つきになってしまった

家に帰ってから嫁に隠れて 縁側でタバコを吸う

見上げた夜空に まん丸のお月様


タバコが吸いたくなったのは 満月のせいだ
なんて 詩人みたいなことを思ってみる

根っこあたりまで 吸ったところで思い出す

灰皿がない

縁側の下の砂利で これでもか と捻り潰してから
飲んでいたコーヒー牛乳の 紙パックに放り込んだ


中学生の頃 田舎からノコノコ 独りで街へ出てきて
まだあの道が あんなに広くなる前の 空っぽになった百貨店の
その先にあった タバコ屋でマールボロライトを買って

歩きながら一服して 焼きそば屋の角を曲がる

そして 今はもうなくなってしまった あの映画館に入り

独りで映画を観た そんなことを思い出していた

不良になりたかったわけでもなく 不良ぶっていたわけでもなく
ただただ 都会的なことしてみなかった それだけだった

家に帰るまでも帰ってからも 
人差し指に残った タバコに匂いが ずっと気になった

そんなことを思い出していた


夜空をずっと眺めているわけにもいかないくらい 寒かったので部屋に戻る

タバコ臭いと 嫁に怒られる

シャワーに入る ダブで丸々と肥えたわがままボディを丸洗いする

温まったつもりになって ベッドに潜り込む

今日一日のことを思い出す  

人差し指からは まだ タバコの匂いがしている



2017年4月11日火曜日

つけてみそかけてみそ って美味しい


「やっぱり清志郎の唄はラジオが似合う。」

『JUMP』という好きな曲が ラジオで流れた時に
そんな生意気な言葉を吐き出してから 目をうるっとさせた

忌野清志郎さん自身がラジオから流れることを想定して 
曲や音を作っていたかはわからないけど 
『トランジスタラジオ』という曲があるくらい彼は
ラジオを通じて たくさんの曲に出会い 影響を受け
あの様な ロックンロールスターになったわけだ

なんて 自分の中でそんな結論を出しておきながら
その『JUMP』は スマートフォンアプリをブルートゥースでとばし
スピーカーで 鳴らしているものだと 気がついた

清志郎が死んでから ラジオも変わってしまったよ
でもボクは そんなに悪いことじゃないと思っているよ

なんて また自分に都合よく考えてみた
人は 自分に都合よく解釈しないと生きていけない動物だ


何年か前に「地震の後に戦争がやってくる」という言葉を
ネット上でよく見かけた 清志郎さんの言葉だ

今にも戦争が起こりそうな というより すでにミサイルが発射されてしまった
それより前から 終わらない紛争もある

戦争を思うと それを自分に都合よく解釈できない自分がいる
武器、燃料関係企業の株でも持っていれば そう思えるのか
そこまでしてというより それ以前に 
それを都合よく解釈しようという思いはない

人は死ぬことは悲しい

日本は 未だ日常が護られている



話を戻して なぜ『JUMP』を聴くと 不思議と目が潤むのか
その理由を考え込んだら 朝日が出遅れてしまいそうだ




2017年3月3日金曜日

茹でた 卵の殻を 上手に 割る 器具

スージーアンドザバンシーズを聴きながら 読みかけの本を開く

本を読みながらスジバンを聴くなんて なんて文化的な野郎なんだボクは

と 陶酔しかけるやいなや 音楽にも本にも どちらにも集中できず

結局 本だけを読むことにした 音楽は止めた

聖徳太子の気持ちがわからない

果たして 10人の言葉を同時に聞き取ったところで
10人へ 同時に返答ができたのか?などと考えても 

答えも救いもないような気がするので その思考は止めることにした

それにしても シティズインダストの イントロが鳴り止まない
結局 本を閉じる ベッドの下の方に 丸くなって寝る

嫁に起こされ ちゃんとした姿勢で 寝かされる

そして 朝がくる

仕事を始めると 別プロジェクトのアイデアが湧いてきてしまい
目の前の作業に 集中できなくなる ソワソワとして 
心拍数が上がってくるのが わかる 

どうせならと思い 目の前の作業を一時中断して 
思いついたアイデアをカタチにする

すると また別の思考が働き出し また別プロジェクトのアイデアが
湧いてきてしまって また目の前の作業に集中できなくなる

こんなにも集中力がなかったのかと 自己嫌悪に落ちだす

自己嫌悪に堕ちる その前に一服してリセットする

リセットにならず 思考が混線する

そんなことをしている間に 昼食の時間になる

大好きなコロッケを食べ 気持ちが晴れる

そして昼寝をしようと 少し横になると また思考が再開する

それに気持ちが悪くなって昼寝ができず 作業を再開する


また同じことを繰り返す


どうしても何かと何かを 同時にしたいわけではないけれど
何かと何かを同時にすることって こんなにも難しいことだったっけ?

と 自分の愚かに 泣きたくなった

と 誰かに甘えてみても 答えも救いもなく


ようするにアレだ 何やってもうまくいかない日ってあるよね

という話でした

こんな日記を 書くつもりじゃなかったのに

頭よくなりたいもんだ

2017年2月3日金曜日

伊予柑の皮 どこまでむきますか


少し傾いたところに車を停めて シートを倒し
昼寝をしようとマブタを閉じようとしたけど 
目の前が見事な青空で マブタを閉じることを止めてしまった

斜めに傾いたフロントガラス切り取った青空も やはり斜めに傾いた
それはまるで 世界がいんでいるようだった

そんな歪み出した世界に 水平線を引いてやれと差し出した 

その人差し指から コイケヤスコーンの匂いがした

一気に覚めた 慣れないキザなことなんて するもんじゃないなと

マブタを閉じて 結局昼寝をすることにした
1月というのに とても暖かくて その日は最高の昼寝日和だった


2月になったと思えば スーパーの入り口付近には鬼の面と 
豆が各種高々とつまれ その先に見えた伊予柑が妙に食べたくなったので


伊予柑を買って帰った 翌朝に食べることにした

久々の伊予柑の皮剥きは 思ってたより少し力が必要であったが
剥けた瞬間に広がる香りにボクは小さく歓喜し 一瞬 清々しい気持ちなった


それから車を走らせ 仕事場へ行き 掃除でもしようとしたときに
また自分の手から 伊予柑の香りがした また小さく歓喜した

でも伊予柑を買ったスーパーのこと思い出し

豆 買っておけばよかったな と小さな後悔がボクにとり憑いてきた


今日は節分

世界中の鬼たちが 外に追い出されて 行き場失くしてしまう日



言葉が溢れてきて 行き場を失くしたその言葉に押しつぶされて  死んでしまいそうだ  

だから 眠ってしまおう



2017年1月14日土曜日

始発列車に乗って たどり着いた街で ごぼう天のうどんを食べよう

大雪降った夜に トイレの電球が切れ 替えもなく
それでもと思って 扉を閉め 便器に座り込む


便座はあたたかくて ホッとしたしたところで
トイレの中が 意外と明るいことに 気がついた

街灯が 雪の白に乱反射に その光を増殖させ
トイレの曇りガラスを通して その光が差し込み
ボクと トイレのあるその空間を 青白く 照らしていた

ボクはまた ホッとした



年明けに 知人から たくさんの信玄餅をいただき
それから正月が終わる頃まで 毎日せっせと食べていた

そういえば 昨年 先輩のところで信玄餅を食べたとき

包んであった透明のビニールに きな粉が たっぷりついたその餅を広げ
付属の 黒蜜を滴らして食べるか

餅が入っている容器の蓋 
その蓋には 黒蜜の四角いボトルが 蓋を凹ます様に 納まっており
それによって 自ずと出来る 四角い凹みに 黒蜜を滴らして
少しずつ 信玄餅と黒蜜を混ぜながら食べるか を議論したことを思い出していた


お正月は 結局 四角い凹みに 滴らして食べる方法で ずっと食べた
昔からの やり方というのは なかなか替えられないものだ

そんなことより 黒蜜を滴らしたときの 
きな粉しっかり纏った信玄餅の そのウォータープルーフ感

こんなに黒蜜を弾いたっけ? 
ということのほうは 気になって仕方がなかった

学者や技術者であれば ここからきっと 
誰かにとって役立つなにかを 生み出せるだろうが


顔も頭も悪い ボクには 何も生み出せないどころか
こうして どうでもいい話のアレくらいにしかならない


また雪が降っている 

今夜 便意が尿意で目が覚めたら

電気をつけずに 用を足そう